イカリソウとトキワイカリソウ
メギ科イカリソウ属

イカリソウ

イカリソウ

撮影地 :大地峠入り口(山梨県上野原町)
撮影日 :1998年5月5日
イカリソウという植物をご存知でしょうか? 名前の通り、花のかたちが錨に似ているため着いた名前だそうです。
確かに、錨に似た花のかたちですね。

ある程度の山地であれば普通に生えていると思われるこのイカリソウですが、お茶の材料として使えるのをご存知ですか?
根元から刈り取り、陰干しにしたものを煎じて飲みます。
薬草として薬効もあるようで、滋養強壮 ・ 疲労回復 ・ 美容 ・ 低血圧症 ・ 食欲不振 ・ 不眠症 ・ 強精などに効果があるそうです。
そこまで考えていたのかどうか、今となっては判りませんが…鳥取大学生物研究会では、大学祭の時に 『イカリソウ茶』 として模擬店で出品した事があります。
山菜として食用にも出来るようで、若葉をおひたしにしたり、葉っぱを天ぷらにしたり出来るそうです。

さて、このイカリソウですが、とてもよく似た 『トキワイカリソウ』 という植物があります。
こちらの写真はトキワイカリソウですが、普通のイカリソウとの違いがわかるでしょうか?

トキワイカリソウ

トキワイカリソウ

撮影地 :岩戸海岸(鳥取砂丘の近く)
撮影日 :2006年5月2日
わかった方はエスパーだと思います。
いえ、これはまるっきりわたしのせいなのですが…写真が悪いのですよ(^^;
外見上の一番の違いは、
『トキワイカリソウの方は葉っぱが固く、表面に光沢がある』 事なんです。
また、トキワイカリソウの葉は冬でも落ちずに残ってるいため、その事でも区別がつきます (『トキワ』 = 『常盤』 です。 決して、常盤公園にあるからこういう名前が着いたというわけでは…と言っても、あまりにローカルすぎるネタなので、ボケにもなりませんね(汗;)

イカリソウは太平洋側に分布し、トキワイカリソウは日本海沿岸に分布します。 このため、分布域でも区別がつきそうですね。 確かに、大学の頃いた鳥取では普通のイカリソウは見た事がありませんでしたし、イカリソウの写真を撮影した大地峠には、トキワイカリソウはありませんでした。

『トキワ』 の名を冠している植物は、冬でも葉が落ちずに残っていたり、枯れないためにその名を冠したものばかりのようです。
『トキワ』 と着く植物を聞いたら、「ああ、冬でも葉っぱが落ちないんだな」 と思えば間違いないと思いますよ。

余談

鳥取大学生物研究会が、大学祭の時に 『イカリソウ茶』 を出品していた事は書きましたが…どうやらその時はみんな、 トキワイカリソウではなくイカリソウだと思っていたようなんですよ。 そもそもわたしも、 『イカリソウ』 だと教わっていましたし。
それが、ひょんな事からイカリソウと類似種を調べていて、「この辺にあるの、イカリソウじゃなくてぜんぶトキワイカリソウだ」 って気付いたのです。

話が反れたので元に戻しますが、トキワイカリソウもイカリソウと同様の薬効があるそうです。 そうだったからよかったものの…もしトキワイカリソウの方は毒だったりしたら、どうするつもりだったんだろう?(汗;
(出品する前に試し飲みして集団食中毒なんていう、情けないにも程がある事に…おそらく事前に試した人がいて、大丈夫だったから出品したんだと思いますけどね (^^;)
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