デジカメ使って覚えよう!

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■Lv0 解像度は高めがいいよ♪
■Lv1 まずは知ってる物から
■Lv2 花から行ってみよう!
■Lv3 全体の感じを掴むのも大事
■Lv4 葉っぱが判れば世界が広がる
■Lv5 意外な所にこんな特徴

 植物をやってると、まず避けて通れないのが 『同定』 という作業。
 でも、図鑑を持って行ってフィールドでいちいち同定するのも面倒くさいですよね。
 また、植物を始めたばかりだと、「そもそもどうやって同定したらいいかわからない」、「何処に目を付けていいか判らない」って方も多いと思います(てか、わたし自身がそうでした^^;)。


 さて、今は携帯にすらデジカメが着いている時代。現像代を気にせずばしばし撮れますし、何よりあほみたいな枚数を撮ることが出来ます
 コレを利用しない手はないっ! って事で、デジカメを使った植物の覚え方や、写しておくと同定の役に立つ事に関して書いてみる事にします。
 少しでも同定の手助けになれればいいな^^

Lv0 解像度は高めがいいよ♪

 さて、一番最初にカメラの解像度から。

 これは、はっきり言って高めがいいです。 まぁ、若干細かい話になるので、ここはささっと流してください(笑)

 解像度が高い方がキレイに写るというのは当たり前ですが、これには結構ありがたい副産物があります。 何かというと、撮った時は気にも留めていなかった特徴が映り込んでいる事があるのです。

 実際に、わたしの実例を挙げてみましょう。

 1. 葉っぱの着き方を撮っておくのを忘れた。

 撮った写真の中から、葉っぱが写っている物をなんとか探し出して…その部分を確認。 ちょっと判りづらいですけど、茎に対して葉っぱがどう着いているのかちゃんと判ります。

 よく見ると、茎に毛が生えているのもわかりますね^^
 2. 帰った後で図鑑を見てみたら 『花に毛があるのが特徴』 とか書かれてて…。

 これまた、撮った物の中から、出来るだけ花が大きく写っている物を選び出してその部分を。

 うん、柔らかい感じの毛が生えているのがきっちり確認できます^^

 今使っているデジカメの解像度は約600万画素。 この位になると、デジタル的な拡大処理をしなくてもきちんと細かいところが写ってくれている事が多いです(ちゃんとその部分にもピントが合ってればね^^;)

 まぁ、ファイルサイズはばかでっかいのですけど…。

Lv1 まずは知ってる物から

 植物の同定は、知識量に大きく左右されます。 特徴を知っている種類が多ければ、初めて見た植物でも、 「あ、これは**科くさいな」 って当たりが着くものです。

 とは言っても、とっかかりが無いことには始めづらいのもまた事実。 ヒマなときに植物図鑑を見て覚えていく、と言うのも良いですけど、知っている植物で生で見れる物があれば、それを撮って特徴を掴んでいきましょう!

 その例として、誰もが知っている 『キキョウ』
を例に挙げてみましょうか。(知ってるよね、いくらなんでも^^;)

まず、何はともあれ花を撮ってみましょう♪

凛として綺麗な花です♪…とそれだけでで終わってしまったら、何の意味もないですね(笑)

とりあえず矢印の場所を見てください。 花びらに切れ込みが入っているものの、一枚一枚の花びらを明確に識別出来ません。 こういうのを 『合弁花』 と呼びます。

ちょっと判りづらいですが、中央に大きな雌しべ、その周りにちょこちょこっと雄しべがあるのも特徴的です。
折角撮れるのですから、葉っぱも撮っておきましょう♪

 葉っぱは、長楕円形というか卵形というか、そんな形をしていますね。

 @の部分を見てみてください。 茎に対して、葉っぱが互い違いに生えていることが判ると思います。 こういうのを 『互生』 と呼びます。

 再び葉っぱに目を移して、Aの部分を見てください。 ギザギザがありますね。 このギザギザを『鋸歯』 と呼びます。

 葉っぱの大きさがどの位かを知るのに、はっきりと大きさのわかる物を側に置いておくのも手です。
 この写真のように、自分の手も一緒に写すのが、一番判りやすいかもですけどね(笑)

※有毒植物の場合があるので、知らない植物に対して手を使うのはやめておきましょう^^;

 こんな風に、知っている植物の特徴を蓄積していくと良いでしょう。
 写真に撮っておけば、後から何度でも見れますしね^^

 折角ですから、図鑑で特徴を確認しておきましょう。 その後、前後に載っている種の特徴も、さらっと流し読みしておくと良いと思います^^

Lv2 花から行ってみよう!

 植物と言えば何はともあれ花! 目立ちますし、特徴が多いですしね^^
 普通の方は、植物の写真を撮るときに花を撮ると思います。

 折角ですから、花の特徴もしっかり写しておきましょう^^

ヒキヨモギ

下唇を突き出したような形…こういう形を、『唇型』と呼びます。

ゴマノハグサ科やシソ科に多いかたちです。
ヒメシオン

思いっきりキク科のかたちですね^^

 キク科の特徴は、一つの花に見えて、実は複数の花が集まっている点です。
 写真では、花の中の黄色の部分が小さな花の集まりです。
オニルリソウ

普通の形のようで、よく見ると特徴的なムラサキ科の花。

中央の部分が、車輪のハブのようですね^^
セイヨウミヤコグサ

マメ科に多いかたちです。

花がこんな感じで名前の判らない植物を見つけたら、まずマメ科を疑ってみましょう。

カワラナデシコ

5枚の花弁が、はっきりくっきり分かれています。

花のカテゴリは『離弁花』 ですね^^
ミシマサイコ

小さな花がぽつぽつぽつ集まっていっぱい…こういうのは、セリ科に多い特徴です。

 場合によっては、花だけで似通った植物を区別する事が出来る場合もあります。
 その例として、『サイヨウシャジン』 と 『ツリガネニンジン』 の花を比較してみましょう。

サイヨウシャジンです。

@とAの長さを比べてみると、ずいぶんと縦長なのが判ります。

また、@とBの長さを比較してみると、雌しべが大きく突き出ているのが判りますね。
こちらはツリガネニンジンです。

@とAの長さを比べてみると、あまり縦長でない事が判ります。

また、@とBの長さを比較してみると、サイヨウシャジンに比べてあまり雌しべが突き出ていません。

 こんな感じで、花だけ区別が着く事もあります。


 さて、区別しておいて何ですが…実はこの2種、ぼろくそに変異が多い事で有名な種です (そもそも、ツリガネニンジン自体が、サイヨウシャジンの変種だそうです)。 実際、ツリガネニンジンの花そっくりのサイヨウシャジンなんかもあったりします^^; でも、雌しべが大きく突き出ているのがサイヨウシャジンの特徴だそうで、そこで決定的に区別することが出来るとのこと。

Lv3 全体の感じを掴むのも大事

細かい所に目をやるのも良いですが、全体の感じを掴むのも大事です。
出来れば、全体を写し込んだ写真も撮っておきましょう♪

ヤブラン

根っこから直接葉っぱが出ていますね。

キツネノカミソリ

あれれ、どう見ても葉っぱがありません

ツリガネニンジン。

中心に一本茎がすっと通っていて、それを取り囲むようにキレイに花が着くことが多いです。

花の着く場所は、中心の茎からそんなに大きく離れません。

葉っぱの形なんかには変異が多いですが、花の着き方はなんだか変異が少ない印象ですね。
対してサイヨウシャジン。

なんだか、四方八方に茎が出ていて、「わしゃわしゃっ!」とした感じが強いですよね。

 サイヨウシャジンにはこういう個体が結構多いです。

 …ツリガネニンジンみたいなやつも多くて、タチ悪いですが(--;

てか、茎に毛が生えてる個体と生えてない個体が隣り合ってるってどういう事だよ!^^;

ここで少し細かい所に目を移して…。

枝が分かれていますね。

横に広がっている印象のある植物は、このように茎が枝分かれしている物が多いです(写真はミシマサイコ)。

地面を這うタイプの植物の時もありますけどね^^;

以下、限りなく失敗談に近いですが…。


この2種、両方とも同じ日に撮った物です。

最初に左の写真の個体(メハジキ)を見つけて撮影。
その後、上の個体(キセワタ)を見つけました。
左の個体はいい位置から撮影出来なかったので、折角だからと撮影しておくことに。

家に帰ってきてから、全体を撮った写真を見てみて…げっ! 葉っぱが全然違う! この二つって別種やん!^^;(今まで見たことが無かったので、区別できてませんでした…。)

Lv4 葉っぱが判れば世界が広がる

 同定の際、葉っぱの形状が決定打になる時が結構あります。
 それに、葉っぱを知っていると、花の時期でなくても同定できる事が多いんですよね。 葉っぱで同定できるようになると、「**月くらいになったら咲くなぁ…。」なんて楽しみも出来るようになります^^

ヘビイチゴ

バラ科はこんな感じの葉っぱが多いですね^^
特徴的で判りやすい葉っぱです^^

…写真が悪いのは見逃してください^^;
ヒメシオン

ちょっと判りにくいですが、細長い葉っぱですね。
葉っぱの着き方は、互い違いに生える 『互生』 です。
 サイヨウシャジン

 茎をぐるっと取り囲むように葉っぱが出ています。

 『輪生』 と言います。

 長楕円形で、縁に鋸歯のある葉っぱ…このページに、なんだか似たような葉っぱが出てきませんでしたか?(笑)
 イヌハギ

 葉っぱが同じ所から三つ出ていますね。

 こういうのを 『三出複葉』 と言います。
 ミシマサイコ

 …判りやすくしようと思ったら、かえって判りにくくなりました^^;

 これも細長い葉っぱですね。

 茎を挟んで同じ場所から反対側に葉が出る、『対生』 です。
 カワラケツメイ

 こういう葉っぱの着き方を 『羽状複葉』 と言います。
 名前の通り、まるで鳥の羽のような葉っぱの着き方をしていますね。

上はカワミドリ、下はサワヒヨドリです。

カワミドリは葉っぱと茎の間に茎のようなもの(『葉柄』) がありますが、サワヒヨドリにはありませんね。

また、茎を抱くタイプの葉っぱもあります(こっちは手持ちの写真が無かったの〜(><))

よく似ている植物でも、葉柄のあるなしで区別が着く時があります。

Ex. サワヒヨドリとフジバカマはよく似ていますが、フジバカマには葉柄があります。

Lv5 意外なところにこんな特徴

 植物によっては、「普通見ないよこんな所…。」 という箇所に強い特徴を持った物もあります。
 最初の方に出てきた、「茎や花に毛がある」 のもその一つです。
 それ以外に、幾つか写真に撮れる特徴を挙げてみましょう。

カワミドリ

茎が四角なのが判るでしょうか?
シソ科の植物はみな、この特徴を持っています。

が四角い場合は、まずシソ科を疑ってみましょう
 オトギリソウの葉の裏です。

 黒っぽい斑点がたくさんありますね。

 こんな特徴以外にも、「葉の裏に毛がある」 なんかの特徴を持っている植物もあり、それが同定の決定打になる事もあります。

 余力があれば、葉っぱの裏も撮っておきましょう^^


 以上、つらつらと書いてきましたが、少しはお役に立てたでしょうか?
 自分としては、同定の際に気をつけるポイントをあらかた書いたつもりですが、抜けているものもあるかと思います。
まぁ、わたしはこのくらいのレベルと言うことで、お許しを^^;

 この記事が少しでもお役に立てたら、とても嬉しいです^^


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