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掲載日:2012/4/17

ウィルスのタイプと予防

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ウィルスによる病気の代表的なものは、おそらくインフルエンザだと思います。
ウィルスには大きく分けて二つのタイプがあるのですが、ご存知でしょうか?

このコーナーでは、ウィルスが増殖する基本的なプロセス・ ウィルスの2つのタイプ・その予防方法について、簡単に説明させて頂きます。
そんなに難しい事は書いてない(つもり)ですので、気楽に読んで下さいな♪

※深い知識を求めて来られた方には、物足りないかもしれません。
 ただ…別の意味で苦情が来ちゃうかも(汗;
Contents(ページ内ジャンプ)
ウィルスってどんなもの?
上の図は、ウィルスの構造の簡略図です。
ぶっちゃけ、遺伝子と、それを覆うタンパク質の殻しかないです、ウィルスって。

※細かい事や例外を書き始めるときりがないので、ほんっと〜に基本的な事しか書いていません。

とりあえずは、「こんな構造をしてる」って事さえ押さえておけばOKです。
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ウィルスの二つのタイプ
ウィルスはおおまかに分けて、以下の二つのタイプがあります。
『裸』のタイプ
ヌクレオカプシドが露出しているタイプです。
後述の『エンベロープ』を持つタイプと比べると、薬物耐性が高いという特徴があります。

代表的なものに、『ノロウィルス』、『アデノウィルス』(風邪の原因の一つ)、『ライノウィルス』(これまた、風邪の原因の一つ)などがあります。

『エンベロープ』を纏ったタイプ
『エンベロープ』と呼ばれるタンパク質の膜をまとっているため、ヌクレオカプシドが露出していないタイプです。

代表的なものに、『インフルエンザウィルス』、『コロナウィルス』(『SARSコロナウィルス』の事を記憶されている方は多いのではないでしょうか?)、『HIVウィルス(ヒト免疫不全症候群ウィルス)』があります。

『エンベロープ』は宿主細胞から放出される際、その細胞膜などを外膜として獲得したものです。
感染能力を持つウィルス総体の事を『ウィルス粒子(ビリオン)』と呼びますが、裸のタイプはヌクレオカプシドがビリオンになりますし、エンベロープを持つタイプは、エンベロープまで含めたものがビリオンになります。
エンベロープの有無は、次のセクションの『@ 宿主細胞への吸着』に密接に関係してきます。
エンベロープを持つタイプはその機能を利用した吸着方法を用いますし、そうでないタイプは、違った方法を用います。
当然、予防方法も違って来ます。
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ウィルスの増殖プロセス

このセクションの話はわりと有名だと思いますので、ご存知の方は、次のセクションへ ですっ飛ばしちゃって下さい(笑)。

『増殖』という言葉を使うと、なんだか生物のように思えますが…普通に使われていますし、ちょうど良い言葉がないので、ここでも『増殖』という言葉を使います。

以下は、ウィルスの増殖プロセスです。

@ 宿主細胞への吸着
宿主細胞にくっつきます。
能動的にくっつくわけではありません。ウィルス自身は移動能力を持たないので、「引っかかる」あたりが、一番近い表現になると思います。
オナモミの種が衣服にくっつくイメージですね。

エンベロープを持つタイプでは、このプロセスでエンベロープが重要な役割を果たします。
A 細胞内への取り込み
宿主となる細胞に取り込まれます。

能動的に入り込むように思えますが、能動的に入り込むわけではありません。 細胞自身がウィルスを取り込んでしまいます。
「細胞が、養分などと間違えて取り込んでしまう」あたりが一番近い表現になるでしょうか。
(詳しく知りたい方は、『エンドサイトーシス』や『脂質ラフト』について調べてみて下さい)

B 脱殻(だっかく)とウィルス核酸の組み込み
宿主細胞の消化機構により、タンパク質の殻(カプシド)が分解されます。
「ウィルス自身が殻を破る」なんて高等な事はしません。するのは宿主細胞です。

このプロセスを経る事で、ウィルス核酸が宿主細胞の中に暴露します。
ウィルス核酸は、宿主細胞の核酸に組み込まれます。
※「ウィルス核酸の組み込み」については、ウィルスによって違いがありますので、あくまで「典型的なケース」と思ってください。

C 宿主細胞内での増殖
宿主細胞の核酸に組み込まれたウィルス核酸を元に、宿主細胞がウィルスの部品を作り始めます。

「宿主細胞を乗っ取って、部品を作らせる」という見方もできますが…そうは言っても、やっぱりやるのは宿主細胞です。

宿主細胞は本来のタンパク質合成を行う事が出来ず、ウィルスの部品ばかり作る事になります。
当然、機能不全を起こします。

D 再集合・出芽
ウィルスの部品は宿主細胞内で集合し、ウィルス核酸がカプシドの中に格納されます。こうして出来たヌクレオカプシドは、最終的に宿主細胞の外に放出されます。

宿主細胞が死ぬ時に放出されるタイプもあれば、細胞表面から湧き出すように放出されていく(出芽)タイプもあります。後者の場合は、細胞膜に向かうにつれウィルスが完成されていく形態を取ります。

最終的に、宿主細胞は死ぬわけですが…ここまで来てもやっぱり、ウィルス自身は能動的に何かするわけじゃありません


さて、ウィルスの増殖プロセスを簡単に説明しましたが…こいつら、最初っから最後まで、自分じゃ何一つしやしません! これを『生物』とするのは、ちょっと…。

このコーナーは、あくまで「ウィルスによる病気の予防」が趣旨ですので、これもまた「だいたいこんなもん」くらいにとらえて下されば結構です

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予防・対策方法
『エンベロープを持つタイプ』⇒『裸のタイプ』の順番に説明します。
どちらに対しても「基本的に手洗いでの対応」となりますが、何故『手洗い』なのかについて少し言及しましょう。
押さえておいて欲しいのは、以下の二点です。
@ ウィルスは、特定の部位にしか感染出来ない事が多い(※)
A 外皮から感染できるほどの強力なウィルスは稀で、たいていは粘膜から感染する
さて、上記を踏まえた上で考えてみると…最も長い時間粘膜に接する経路はどこでしょうか?
口からの経路ですよね。
実際、例として挙げた『インフルエンザウィルス』『ノロウィルス』の感染部位は、
@ インフルエンザウィルス:喉の粘膜に感染
A ノロウィルス:小腸の粘膜に感染
どちらの部位も、口からの経路によるものです。
『手洗いでの対応』となる理由が、これでわかったのではないかと思います。

では、対策方法について進みましょう。

※ インフルエンザに関しては、全身の細胞に感染できるタイプの出現が危ぶまれています。この「全身の細胞に感染できる」事を『強毒性』と言います。
『エンベロープを持つタイプ』の予防・対策

エンベロープは偽装・宿主細胞への吸着に重要な役割を果たすため、感染能力自体は高いのですが…逆に言えば、エンベロープを叩き壊してしまえば、感染能力がガタ落ちする(薬物耐性が低い)のが、このタイプの特徴です。
では、エンベロープはどうやって破壊すればよいのでしょうか?
エンベロープは、石鹸や、消毒用アルコールで簡単に破壊できます!
よくインフルエンザの予防などで、「石鹸を使ってよく手を洗う」などが言われますが、それはこの理由からです。
インフルエンザウィルス等、エンベロープを持つタイプのウィルスには、
石鹸・消毒用アルコールを用いた手洗いが有効
至って普通の対応だったりします。
『裸のタイプ』の予防・対策
さて今度は、エンベロープを持たないタイプについてです。
このタイプは、感染力そのものは弱い事が多いのですが、薬物耐性が強い=石鹸や消毒用アルコールの効果がないという、困った特徴を持っています。
では、どうすればいいかと言うと…。
物理的に洗い流す他ありません
というか、しっかり洗い流してしまえばいいわけで…。
対策方法は、「しっかりと時間をかけて洗う」「二度洗いする」等になります
あと、石鹸を使うのは、全く効果がないわけでもないです。「汚れを浮かせる」効果がありますので、ウィルスが流れ落ちやすくなります。
ノロウィルス等、エンベロープを持たないタイプのウィルスには、
しっかりと手を洗う事が有効
これまた、ものすごく普通の対応ですね。
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おわりに
以上、ウィルスの感染を予防するための、基本的な対策方法を書かせて頂きました。
率直に言えば、「手を洗うの、バカにしちゃダメだね…」って事ですね^^;
あと、当然の事ですが、「抵抗力(体力)あってのものだね」です。規則正しい生活・きちんとした食事を心がけるのが最優先ですね!
(いやまぁ書いてて、わたしの肺腑にぐさぐさ突き刺さる言葉なのですが…(汗;)
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