ヘビに近づく人も珍しいけど・・・。

CONTENTS(ページ内ジャンプ)
野外では、意外とヘビを見ることが多いけど
とにかく近づかない! 持つなんてのはもっての外!
ヘビのいそうな所に近づかないのが、そもそもの予防
防げるところは、服装で防ごう!
藪を歩くときには棒でがさがさ・・・これって効くの?
しゃれにならないハブの攻撃性 −日本で最もたちの悪いヘビ−
ウミヘビ,ヒャン,ハイ −毒は強いが大人しい−

『フィールドに出る前に』に戻ろう


野外では、意外とヘビを見ることが多いけど

 フィールドに出る事の多い方なら、一度や二度はヘビに出くわした事があると思います。 見た目があまり気持ちのいい生物ではないので、自分から近づく人はあまりいないとは思いますが (^^;
 それでも、場所によってはヘビに咬まれる可能性が高い所もあるので、ヘビに咬まれないための予防方法について記すことにします。

 先ず、日本本土にいるヘビに関して話を進めて行き、ハブやウミヘビについては、後で個別に対策を述べることにします。
『フィールドに出る前に』   このページのトップへ   次へ

とにかく近づかない! 持つなんてのはもっての外!

 もともと、日本のヘビは臆病なので(ハブの仲間は除く)、毒蛇・普通のヘビともに自分から襲ってくる場合はほとんどありません。
毒蛇であるマムシ,ヤマカガシに限って言っても、大人しく、こちらから攻撃をしかけない限りは、踏んづけてしまったりしなければ咬まれることは滅多にありません。
多いのは、手に持ったりとか、殺そうとして近寄ったりして咬まれるケースだそうです。
ですから、

ヘビを見たら、とにかく近づかない

のが一番いいです。
まぁ、子供ならともかく、好き好んでヘビを手に取ろうという人もあんましいないとは思いますが。

 ちなみに、普通のヘビでも、咬まれると結構痛いです。思いっきりかみついて、なかなか離してくれないし(^^;

産卵期には注意!

いくらマムシやヤマカガシが基本的に大人しいと言っても、産卵期になると話は別です! マムシの産卵期は8月〜10月です。
この時期はフィールドに出る機会も多いかと思いますが、十分注意してください。
また、攻撃性の高い 「トチ狂った固体」 の事も気に留めていた方がよいです。
過度に恐れるのはよくないですが、なめてかかるのはそれ以上に良くないです(^^;

前へ   このページのトップへ   次へ

ヘビのいそうな所に近づかないのが、そもそもの予防。

とは言っても、普通のヘビは山野には結構何処にでもいますから、マムシ等の毒蛇に関して話を進めて行く事にしましょう。
 まず、日本本土の山野に住む毒蛇と言えば、マムシヤマカガシです。 この2種類の毒蛇の住んでいる場所は、以下のような所です。

マムシ
山地でも平地でも、隠れる場所と餌さえあれば何処にでも住める。特に、田畑のような開けたところの縁によく見られる。基本的に人家を避けるが、最近は環境破壊のために住処を追われ、庭などに出てくることもある。

ヤマカガシ
水田や河川などの水場の周辺。餌になるカエルさえいれば、その近くの山野にも見られる。

 こうしてみると、マムシなんかは何処にでもいそうです。
でも、それを言っては始まらないので、上記の2種類に関する典型的な場所を挙げてみると・・・。

水場に近い、じめじめしている草むら

 こういう場所には、近づかないのが一番ですね(まぁ、あまり気持ちのいいところでもないので、よっぽどの理由がないと近づく人もあまりいないと思いますが)。

 また、行動するときに以下の点に気を付けるといいでしょう。
  • 茂みや藪の中を避けて歩く
  • 穴の中,大きな石の陰,倒木の陰には、確認しないで手を突っ込まない(ヘビが好んで隠れる場所だから)。
  • 腰を下ろすときは、ちゃんと腰を下ろす場所を確認する。
  • 夜に歩き回らない(マムシは夜行性です)。
  • がけなどを登るときに、手を置く場所をよく見る(手をかけたところにヘビがいて、咬まれることが結構あるそうだ)
  • 死んでいるように見えるヘビでも、手に取らない(死んでいない事もあるし、頭の筋肉が生きていて咬まれることもある)

前へ   このページのトップへ   次へ

防げるところは、服装で防ごう!

 基本的には、ヘビのいそうな場所には近づかないことが一番いいのですが、そうは言っていられない時もあるでしょう。
また、マムシは結構どこにでもいるので、用心しておくに越した事はありません。
となると、ヘビに咬まれないような服装をする、という事が必要になってきます。

 ヘビに咬まれないようにするには、以下のような服装がいいでしょう。
  • 裸足または草履だけといったような、素肌の露出する履き物は避ける
  • マムシに対しては、登山靴で十分防御できる(普通の靴でも、結構安全らしい)
  • 丈夫な生地の、ゆったりとした長ズボンを履く。
 また、足下を守るために、スパッツなどを着用するのも一つの手ですね。

□補足(H14/11/6)
 以前ぼおだあさんの 『今日も爆釣!?』 から文中リンクのお願いを受けたときに気づいたのですが…釣りをされる方だと、落とした竿や道具を取ろうと思ったらそこに蛇がいた、なんてシチュエーションもあるのね^^;
そういう風に考えると、用心のために手袋くらいはしておいた方がいいかもしれません。

前へ   このページのトップへ   次へ

藪を歩くときには棒でがさがさ・・・これって効くの?

 よく、「マムシのいそうな草むらでは、棒で歩く先をがさがさしながら進むといい。マムシは臆病だから、そうすると逃げていく」と言われます。
 これは、当たっていると言えば当たっています。 ヘビは基本的に臆病ですから、人の気配を感じると逃げていくと言いますし、 攻撃範囲も狭く、マムシの場合では50cm以内に近づかなければ攻撃されません。

 でも、考えようによっては、以下のようなケースもあるわけで・・・。
  • 逃げようとしているヘビを、ちょうど棒で突っついてしまい、咬まれる。
  • 藪の中にあるハチの巣を突っついてしまい、ハチに攻撃される。
 こうしてみると、余計な事はせずに、足下の防御を固めるのが良さそうですね。

前へ   このページのトップへ   次へ

ここからは、普段はあまり縁のないヘビについて説明させて頂きます。

しゃれにならないハブの攻撃性 −日本で最もたちの悪いヘビ−

 日本で最もたちの悪いヘビと言えば、ハブをおいて他にないでしょう。なにしろ、日本の他のヘビと違い、強烈な攻撃性を持っています。
 また、マムシやヤマカガシの場合、足下の防御を固めておけばいいのですが、ハブの場合、高いところにも登る性質があるため、胴よりも上の場所に飛びかかってくる場合があり、始末におえません(毒性や毒のまわりは、記憶が正しければマムシよりずいぶん劣るのですが)。
本州にいないのがせめてもの救いです。

 とにかく、ハブは特記に値するだけの危険なヘビですから、まず性質を書いておきましょう。

■ハブの性質
奄美諸島、沖縄諸島に生息する。
昼間は森の茂み、石垣や洞窟などの穴、ソテツ林、畑や山麓の草むらなどに潜んでいる。
夜間活動し、ネズミ等を求めて人家に頻繁に人家に近づき、庭や便所にもよく入る。低木や農道・林道脇の崖にもよく登る。
神経質で、人が近くを通っただけでもかみつくし、高い所からかみつくことも多い。
かみつくときは口を広く開けて牙を立て、頭を投げるようにして「刺す」という感じで攻撃する。

■予防
かなりやっかいな性質の持ち主なので、予防として出来ることは、ハブのいそうな所には近づかないくらいしかありません。
足下の防御を固めるには、ゴムや皮の長靴が有効です。
余談ですが、夜にトイレに行っておしりを咬まれるという、笑うに笑えない被害も結構多いそうで…(--;

 なお、ハブにも、ただの「ハブ」以外にヒメハブ,トカラハブ,サキシマハブといった種類がいますが、いずれもハブに比べて攻撃性が弱いです。 予防方法は、マムシ程度に考えておけば間違いではないでしょう。

前へ   このページのトップへ   次へ

■ ウミヘビ、ヒャン、ハイ −毒は強いが大人しい−

 最後に、一番遭遇する事が少なそうな、ウミヘビ、ヒャン、ハイと言ったヘビに関しても書いておきます。
 とはいっても、どっちも基本的に大人しいヘビなので、あんまし書くこともないんですが・・・。

■ウミヘビの性質と予防方法
薩南諸島以南の海域に住むが、その他の場所にも流されてくる事がある。
海岸に近い海に住み、特に珊瑚礁を好む。 一部のヘビは陸に上がることもあるが、殆どの種類は一生海から出ない。
基本的に大人しいが、個体によっては泳いでいる人を攻撃するので、見かけたらさっさと水から出る。
咬まない種類もいるが、絶対に手を出さない事!

■ヒャン・ハイの性質と予防方法
南西諸島に分布するヘビで、ヒャンは奄美諸島と周辺の小島、ハイは徳之島、慶良間諸島、沖縄等、久米島、その他の小島に住む。
山地や平地の湿ったところを好み、乾燥した場所にはいない。
この2種類のヘビは口が小さく、性質が穏和なので、滅多に咬もうとしない(毒はシャレにならないほど強力なのですが)。そのため、手を出さなければ咬まれることはない。

前へ   このページのトップへ   次へ

終わりに

 以上、ヘビに咬まれないようにするための予防方法について、簡単に説明してみました。
重ね重ね言いますが、ヘビに咬まれないようにするには、近づかない、手を出さない、手に取らないが最も有効な予防手段です。
なにぶん見た目が気持ち悪い動物なので、攻撃されるという被害妄想を持ちがちですが、ヘビの方も人間を怖がっているんです。 だから、余計な事はしない事ですね(^^;(ハブが相手になると、事情は違いますが)。

■参考文献

  • 野外における危険な生物 (思索社)
  • アウトドア 危険・有害生物完全マニュアル (学研)
  • BE-PAL OUTDOOR MEDICA アウトドア救急ハンドブック (小学館)

前へ   このページのトップへ   『フィールドに出る前に』に戻る