ついたらかぶれた草の汁 (植物の接触被害)

CONTENTS
はじめに −植物の接触被害には、こんなものがあります− 
ウルシの類にかぶれたら
痛みが強烈イラクサ科
その他のケース
おわりに
『フィールドに出る前に』に戻ろう



はじめに−植物の接触被害には、こんなものがあります−

かぶれる植物といえば、ウルシが一番有名でしょう。 実際、野外で植物にかぶれるケースは、ウルシの類にかぶれる事が最も多いのではないでしょうか?
それ以外には、かなり強烈な痛みのイラクサ類、汁が皮膚に着くとかぶれるクサノオウなどがあります。
植物の接触被害には、大きく分けて 「触っただけでかぶれる」 「触ると激しい痛みがある」 「汁がつくとかぶれる」 「とげが刺さる」 の4種類があります。それらの例を、以下に挙げてみましょう。

触るとかぶれる
 ウルシの類が代表的です。
厳密に言えば汁にかぶれているのと同じですが、枝を折ったりしないでもかぶれますし、体質的に弱い人だとそばを通っただけでかぶれます。
 ウルシの類以外に、トウダイグサの類があります。

触ると激しい痛みがある
 あまりメジャーではありませんが、イラクサ科の痛みはかなり強烈です。
また、前述のトウダイグサの類は、こちらの症状もあります。その上、その汁は発ガンプロモーションの促進剤になると言われているそうですし・・・はた迷惑なことこの上ありません。

汁がつくとかぶれる
 クサノオウなどを初めとして、結構たくさんあります。
イメージとしては、いちばん「かぶれる」ものではないでしょうか?
 食中毒を起こす有毒植物の汁も、着くとかぶれる場合が大半なので、ここではあまり詳しく書きません。

とげが刺さる
 ノイバラなんかが代表的です。大半は機械的に痛いだけ。
 ちなみにイラクサの類は、ミクロ的に見ればここに分類されますが、あっちはちゃんと毒もあります。


 ここでは、多いと思われるウルシの類、イラクサの類への対処方法をまず記し、その後に他のケースについても記すことにします。

『フィールドに出る前に』   このページのトップへ   次へ

ウルシの類にかぶれたら

 ウルシの類にかぶれたら、まずは患部をよく水洗いして清潔にしてください。 その上で、抗ヒスタミン成分を含むステロイド系軟膏を塗ります。また、患部を冷やすのも効果的です。
患部をこすったり、かいたりしてはいけません(症状が他の部分に広ります)。
 何度も出てくる抗ヒスタミン成分を含むステロイド系軟膏ですが、フィールドではありとあらゆる症状に効果的なので、フィールドに出る場合には必携の薬です。

追記(H14/4/9)
 アンモニア水を持っていれば、患部はこれで洗ってもいいそうです。 もっとも、濃度を間違えたりするとえらいことになりそうな気がするので、ちょっと注意が必要に思えます。
 また、薬を持っていない場合は、スギナを塩もみしたものを患部に塗れば応急処置ができるとのことです。
(野外で食事を作る事を考えての場合はともかく、普通塩を持って行く事はなさそうですけど^^;)

前へ   このページのトップへ   次へ

痛みが強烈イラクサ科

 イラクサを触ったことがあるでしょうか? 治療方法を知っていて、かつ治療手段を確保している場合は話のネタにと触ってみるのもいいですが、はっきり言って止めた方がいいです。かなり痛い目に遭います(ええ…やった事がありますとも!)。

 イラクサを触ってしまったら、まずセロテープ等を何回か患部に押し当てます(イラクサは細かい棘が葉の表面にびっしり生えていて、これが大量に皮膚に刺さります。これをテープで除去します)。その後、重曹やアンモニア水で毒を中和します
 イラクサの類は丈も高く、びっしりと草むらを作っている事が多いので、藪こぎする場合は十分注意してください!

 このイラクサ、天ぷらにすると山菜の中ではトップクラスの美味しさだそうなので、一回食べてみたいのですが…蟻酸だらけの葉っぱと聞くと、おなかをこわしそうでコワイです。 やっぱり、一度重曹水に浸けて酸を中和するのでしょうか?

前へ   このページのトップへ   次へ

その他のケース

 さて、残るはその他のケースなのですが・・・困ったことに、各種フィールドガイドには、ウルシとかイラクサの対処方法は載っていても、それ以外は全般的なケースしか載っていません。
 しょうがないので、その全般的なケースだけ紹介する事にします。
(モノがモノだけに、推測記事を書くわけにもいきませんし)。

植物のとげが刺さった
 ただの刺し傷に過ぎないので、まず棘を抜いて消毒します。細菌感染を防ぐために抗生物質入りのステロイド系軟膏を塗った後、絆創膏を貼っておきます

植物の汁がついてかぶれた
 患部を水洗いするなどして清潔にし、抗ヒスタミン成分入りのステロイド系軟膏を塗ります。その後、患部を冷やします。 かゆくても、患部をこすったりしてはダメ!
 要するに、ウルシと同じ対処方法です。 他にも対処方法があるような気がして仕方ないのですが…参考文献には、このくらいしか書かれていませんでした。

前へ   このページのトップへ   次へ

おわりに

 以上、植物による接触被害の対処方法を書かせていただきましたが、調べた方の感想としては・・・なんでこんなに記述が少ないの?
まぁ、整備された登山道やキャンプ場では、こういう被害は一番少ないのかもしれませんが、もうちょっと色々書いてくれてても、ねぇ(^^;
 とにかく、植物の接触被害対策には、抗ヒスタミン成分入りのステロイド系軟膏、抗生物質入りのステロイド系軟膏、アンモニア水、絆創膏を準備していけば十分なようです(記述を信用する限り、ね(^^;)。

参考文献

  • 野外における危険な生物 (思索社)
  • アウトドア 危険・有害生物完全マニュアル (学研)
  • BE-PAL OUTDOOR MEDICA アウトドア救急ハンドブック(小学館)
  • 毒草を食べてみた(文藝新書)
  • ポケットガイド 山菜・木の実(小学館)

前へ   このページのトップへ   『フィールドに出る前に』に戻ろう