山中湖ワカサギ釣り

 1/31、うちの課のイベント(なのかなぁ?)で、山中湖でワカサギ釣りがあった。 これってあんまりフィールドと関連ないような気がしないでもないけど、植物中心でやってると冬はたいして書くネタもないし・・・。
ということで、番外編ということで許して下さい(^_^;

CONTENTS(ページ内ジャンプ)
Pre Event 前夜1:30
Event 1 進まない…。
Event 2 おもりはどこ?
Event 3 M谷、水没
Event 4 砕氷船
Event 5 また、進まない…。
Epirogue 先輩達のお言葉

フィールド日記に戻ろう

Pre Event 前夜1:30

 前夜と言いつつ、日付はすでに1/31。明日のワカサギ釣りには寮の隣の部屋の同期、M谷と行くことになっていた。
M谷が車を運転してくれるそうなので、わたしは夜更かししてネット回りをしている。 M谷を起さなきゃいけないから、そのためにはずっと起きておくのが一番いいなぁ、と思ってそうしていたのだが・・・(車の中で寝ることが前提になってるが(-_-;)

コンコン

「はーい。なにー?」

 入ってきたのはM谷だった。

「おい・・・M谷、明日車の運転やってくれるんじゃなかったの? こんな時間まで起きてて大丈夫?」
「いや、(わたしの名前)が運転するんやろ?」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・とりあえず、今お互いに言えることは、早く寝ることだな・・・。」

 大丈夫なんかなぁ、こんな調子で・・・。
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Event 1 進まない・・・。

 八王子インターに入るまでに迷ったりとか、合流地点のセブンイレブンで入れ違いになったとか、 釣り開始までにいろいろあったけど、いちいち書いてたらきりがないので割愛する。

 山中湖のどの辺なのかは知らないが、わたしたちは先輩の車に誘導してもらって釣り場にたどり着いた。

ボートでの釣りということだが、この釣り場、とにかく狭いっ!

この日の山中湖は氷がびっしり張っていたので、釣り場は氷が割られて湖面が出ている扇形のスペース。まぁ、狭いとは言っても扇形の半径は50m以上ありそうだから、見た目ほど狭いというわけでもないだろう。どの船も、氷が張っているところまで行って、氷のふちに陣取っている。

氷のふちには船がびっしり!そのせいで狭く感じるのかな?

 で、船に乗って釣り開始!といく筈だったのだが・・・。

「M谷、船はこげるよね?」
「小学生の時海洋少年団入ってた以来やけどな」
「・・・任せる。わたしは生まれてこの方、一度もオールなんて握ったことない」

 のっけから不安が・・・やっぱり、不安的中!

「・・・これ、進んでる? 何となく、風にながされてるだけのような気がするんだけど」
「そうや」
「・・・。」
「・・・。」

 目的地点に到達前に、立ち往生。

「かわって。やってみる」

 M谷と交代してもらい、わたしがやってみることにした。でも、初めてやることなんだから、上手く行く筈がない。

「(わたしの名前)! お前ぐるぐるまわっとるだけやんけ!」
「・・・努力は認めてくれ」

 そうこうしているうち、船は風に流されて行って・・・。

「まずいまずいまずい!主任たちの船にぶつかるぅ!」

 とはいうものの、回避する技能なんかわたしたちにあるわけがなく・・・。

がこっ!

「ああっ!ごめんなさいぃー!」

 あわててそこからの移動を試みるが、やっぱり上手く行かない。

がこっ!
がこっ!
がこっ!

 そこらへんにいた人たち、ごめんなさい。

「と、とりあえず、出来るだけ他の船から遠い所に陣取ろう」
「そおいうても、できへんやん!」
「なんとかするよ。とりあえず、氷に沿って移動するから、氷のふちに船を移動させられない?」
「そのぐらいやったらやったるわ」

 M谷、何とか船縁を氷のふちにつけてくれる。

「で、どうするんや?」
「こうだ!!」

 わたしは上半身を船から乗り出すと、氷の表面に爪を立てた。

「必殺!氷渡りぃ!(その場で命名)」
「うおおおお、なんでそんなこと出来るんやぁ!」

 説明が必要だろう。「必殺・氷渡り」とは、氷の表面をひっつかみ、腕力で船を移動させる技である。
欠点は、氷に沿ってしか移動できないことと、手が非常に冷たくなることだろうか。
どの辺が「必殺」とか「氷渡り」なのか?という疑問はあるだろうが、それは気にしないで欲しい。

※ちゃんと船をこげれば全く必要ない。

 ともかく、船はなんとかいい場所に移動した。

「ぜえぜえ、はぁはぁ。気分は空手の寒稽古だ」
「お前、しんじられんことするやっちゃな!」

 いいながらM谷、げらげら笑っている。ここが船の上でなかったら、こいつ、笑い転げてるな。

「笑い事じゃないわい!だいたい、M谷には彼女いるから期待してたんだぞ!」
「・・・確かに、これやと彼女連れて湖に行くのは無理やなぁ」

 ふと別の所に目をやると、余裕な様子でボートをこいでる人の姿が。

「・・・なんか悔しい。一応アウトドア派の俺としては、これはちょっといただけん。 よし、春になったら相模湖で特訓だ!」

 どうせ、春になるまでに忘れてるんだろうけどね・・・。

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Event 2 おもりはどこ?

 釣りのポジションをとるまでに1時間ぐらいかけたものの、なんとかボートは安定した。
さて、やっと釣りに入れる、と思ったら・・・。

「M谷のしかけ、重りついてる?」
「いや、ついてへん」

・・・重りがなかったら仕掛けが沈まないんだけど・・・。

「この、予備にってもらった仕掛けにはおもりついてるけど・・・。」

 一個しかない、これ。

 えーっと、重りの代わりになるもの、代わりになるもの・・・。
 持ってきたディバッグの中を引っかき回してみるが、役に立ちそうなものは全くない。

(どうしよう?金属のもので、糸につけられるものと言ったら?あ!あれがあるや)

 わたしは財布の中をごそごそやり始める。あった!5円玉と50円玉!

「何やっとるん?」
「5円玉と50円玉、重りにするの。こういうときの常套手段でしょ!」
「おお!頭ええ!・・・俺にもくれ」
「・・・それぞれ二枚ずつしかないんだけど・・・まぁいいか。とりあえず、仕掛けをつけてからにして」

 ワカサギの仕掛けは針の数が多く、10本くらいついている。当然、仕掛け自体も長い。狭いボートの上では、仕掛けをセットするのも一苦労だ。その上、『重り』 をつけるための小細工もしないといけない。
 わたしの方はなんとか「重り」をつけ終え、仕掛けを投入。さすがにまともな重りじゃないので、へろへろ揺れながら仕掛けは沈んでいく。
ふとM谷の方を見ると・・・なんでライターなんか使ってるんだ!?

「おい、M谷、何を・・・。」
「仕掛けの針が刺さってとれんから、ライターで糸切っとる」
「そりゃまぁ、糸切りばさみないからそうするしかないわなぁ」

 数分後、出来上がったM谷の仕掛けには、針が5本ぐらいしかなかった。

「針の数、半分ぐらいに減ってない?」
「しょうがないやん」

 と、そのとき風が吹いて・・・。

閑話休題

「使いものになんなくなったか、あの仕掛け・・・。」

 結局、M谷は予備の仕掛けで釣りをする事になった。
 一通りやることをやってしまうと、ルアー釣りなんかと違って待つことだけになるので、する事がない。

「さーてと、仕掛けも投入したし、あそぼあそぼ!」

 わたしはディバッグ中に入っているカメラと双眼鏡を取り出す。

「あ、富士山がキレイ!写真にとっとこー!」
「あ、猛禽飛んでる!トビかなー?ミサゴとかだったらいいなー!」

 それぞれのツールを手に、はしゃぎ回るわたしを見て、M谷が一言。

「お前、最初から釣りする気できてへんやろ」

 べつにいいやん、ねぇ・・・。

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Event 3 M谷、水没

「うーん、硬貨のおもり、ダメだなぁ・・・。」

 仕掛けを引き上げながら、わたしはつぶやいた。 引っ張り上げた仕掛けには、なーんにも着いてない・・・訂正。針につけたえさが、一匹も外れずについている。

「なんで?沈むんやろ?」
「いや、それはいいんだけど、50円玉って銀色でしょ。釣れてるんじゃないかっ?ってよからぬ期待を持たせてくれる」

 この時点までに釣果はゼロ。なんだか、続けていても釣れそうにない。

「ときにさぁ、ここの氷、厚いから上に乗れそうじゃない?」

 いいつつ、わたしは片足を出して氷をがしがしっ!とやってみる。大丈夫そうだけど・・・。

「出来るんちゃう?」
「いや、やっぱ無理だと思う。うーん、いくらか船に体重かけたままだと出来そうな気はするけど、 完全に氷の上は無理だよ」

 試しに両足まではやってみたが、氷の上に体重を完全に移すことは出来そうにない。

「無理かぁ。氷の上に立ちたかったんやけどなぁ」
「まぁ、出来ないものは仕方ないでしょ」

 それからしばらく、弁当食べたり双眼鏡で景色を見たり。何回か仕掛けを引き上げて見るが、 ことごとくダメ。M谷は氷の上に立ちたいという願いを捨てきれないのか、何回か氷をがしがしやっていた。
 船が風に流され、氷が他の所より厚くなっている所に来たとき・・・。

「ここやったら大丈夫そうやで」
「やるのか!?やるんやったら写真とったげるよ?」

 表情から判断するに、M谷の決心は固いらしい。ホントにやるか。 なら、わたし一人だけが見ていてもしょうがないだろう。宣伝宣伝っ、っと!

「しゅに〜ん!M谷が氷の上に乗るそうです!」

 近くに、わたしの上長である主任と、検査の方が乗っているボートがいたので、そちらに声をかけた。主任は面白そうに笑いながら、こっちを見ている。

 M谷は、その時点で体重の約60%(推定)を氷の方にかけていた。70%、80%、90%・・・・。

みしみしみし

「みしみしいってる!ヤバイ!やめれ!」

 遅かった。

どぼっ!

 水音、下にずれるM谷の姿、そして・・・。

「うわぉおぉおぉおぉ!」

 飛び上がって船に転がり込むM谷。幸い、靴がずっぽり浸かった程度で済んだみたいだけど・・・。

「大丈夫!?」
「冷たい・・・。」

 ・・・そりゃそうだ。

M谷、靴をぬいで靴下を絞っている。

「靴下ここに干してええ?」
「いいけど・・・寒いでしょ?」
「寒い・・・。」

がちがち震えている。あーあ、しょうがないなぁ、もう。
ほっとくわけにもいかないので、わたしはディバックの中に入れてあった、予備の重ね着用セーターを投げて渡す。

「使え」
「ええんか、これ?」
「いいよ」

 どうせ、ジャスコのバーゲンで衝動買いした2000円の安物だし。

「それにしても・・・やめれって言ったのに」
「あの状態やと、もう間にあわんかった」

 そりゃまぁ、そうか。

 その後、わたしも一応氷の上に立つことを試してみたけれど・・・両足氷の上に乗せて、 体重80%ぐらいかけた時点でみしみしいったのでやめました。

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Event 4 砕氷船

 なんだかんだやっているうちに時間は過ぎ、時刻はだいたい午後1時。 どんだけやってもワカサギがかかる気配もなく、だんだん寒くなってくる。

「M谷、そっちの方、釣れそう?」
「全くあかん。だいたい、そこら辺の人たち、釣れてる気配が全くないぞ」

 うーむ、確かにそうだなぁ。しかし、寒いっ!
 思って辺りを見回した時、氷が分厚く張っていそうな所が目に入った。もちろん岸とは反対の方向で、 ここからだと氷を割らないと行けそうもない。目算で30mは離れていそうだし・・・。

「・・・M谷、あっこらへん行ったら、氷の上に立てないかな?」
「立てそうやけど、いけんやろ?」
「氷割って行ったら、行けないかな?」
「無理やろ。かなりあるで」

 うーん、でも、行きたいなぁ。

「氷の上走っていったら、行けるんちゃうか?」
「それって、水の上走るってのと同じ理屈じゃない?片足が沈む前にもう片方の足出すっていう・・・。」

 言い終わった後、わたしはおもむろにオールを握る。不思議そうな顔をしているM谷を横に見ながら、 わたしはオールでなんとか届くところ、氷の上に線を引いた。

「これ、目標ね」
「なんや、目標って?」
「だから、目標。あそこまではとても行けそうにないでしょ?だから、行けそうな所まで」
「???」

 M谷は、わたしが何をしようとしているのかまだ理解出来ていない様子だ。

「だから、こうするんだってば」

 わたしはオールを振り上げ・・・。

げしっげしっげしっ!
かしゅーん!
げしっげしっげしっ!
かしゅーん!

「おいおいおいーっ!何やっとんねん!」
「?だから、氷割って、さっき線引いた所まで行くんだって」
「そりゃ、いくら何でも・・・。」
「あーっ、信じてないなぁー!」

げしっげしっ!
げしっげしっ!
げしっげしっ!

「・・・お前、しんじれんことしとるな。なんでこんな厚い氷われんねん!」
「え?なんかおかしいことしてる?簡単に割れるよ、これ」
「うそや・・・。」
「じゃ、試してみたら?見た目ほど堅くないよ、これ」

 半信半疑で、M谷はオールを振り上げる。
そのままオールを振り下ろしたが…。

「やっぱり無理やーっ!お前、どんだけパワーあるんや!」
「えーっ?なんでぇ?お前の方がわたしよりもガタイいいのに・・・。」

 言いつつ、わたしは氷を割り続ける。

「ひぃっさぁーつぅ!シャイニング・フィンガァアアアアアア!(意味不明)」

(あれ?氷の上に輪ゴム落ちてる?なんで?まぁいいや)

 だいたい15分か30分ぐらい続けたろうか?いつの間にか目標地点に達していた。 ちょうどわたしらの船がすっぽり入るぐらいのへこみが、氷に出来ている。

「・・・「氷渡り」といい、今のといい、お前見た目からは信じられんようなパワーあるな」
「それ、よく言われる。けど、そんなに力ないように見えるかな、わたし?」

 M谷はそれについては答えなかった。
ただ、一言、

「これ、帰るときどするん?」

 ま、それはそのときになって考えると言うことで。

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Event 5 また、進まない・・・。

 時計がないので時刻は判らない。岸に着いた時間から逆算して、多分二時ジャストぐらいだったと思う。
そろそろ潮時、と、わたしたちは引き上げる事にした。 当たり前というかなんというか、結局釣果はゼロのままだったのだけど。

「じゃ、とりあえず、船の方向変えよう」

 とは言ったものの、朝から今までで、にわかに操船のスキルが上がっている訳がない。その場でぐるぐるぐるぐる。

「ええい!まどろっこしぃ!必殺・氷渡りぃ!」

 なんとか例のへこみを脱出して、岸に向かおうとしたのだが・・・。

「あんまり進んでないぞ」

 M谷の言葉通り、わたしたちの船はあんまり進んでいなかった。しかも、ちょっと漕ぐのをやめるとすぐ元の場所に戻ってしまう。

「うーん、力技、使いまくったからなぁ・・・。」
「二人で漕がな、無理やな」

 しょうがないので二人で並んで座って一人一本ずつオール持った。せーので始めて、タイミングをあわせて漕ぐ。
 一人で漕いでいた時とは比べものにならないぐらい、その推力は強かった。

「よし、じゃあ、今度は俺がやるわ」

 今度はM谷が漕ぐのを担当する。
 ・・・全然進んでないんですケド。

「今おもったんやがな、碇、おろしっぱなしやないか?」
「あ!そういや!」

 確かにそうだ、と思って碇のロープを引っ張るが、なかなかあがってこない。

「どおりで、すぐもとの場所に戻ると思った・・・。」

 碇のロープはかなり長く延びており、少なくとも10メートルぐらい引っ張ったような気がする。

「よくこんなの引っ張ってここまで進んできたな・・・。」

 碇を引っ張り上げ、今度はわたしが漕ぐの担当。さっきとは比べものにならないぐらい船が軽いっ!

「おう!いい感じにまっすぐすすんどるやん!」
「朝、この調子で進んで欲しかった・・・。」

 なんなく岸までたどり着き、接岸。しかし・・・。

「輪ゴムしらん?この借りた竿、たばねてあったんやけど・・・。」
「・・・そういや、氷の上に落ちてた。なんでこんな所にあるんかと思ってたけど、あれ、お前のだったのか」

 しょうがないので船中探し、おそらく弁当のものであろう輪ゴムを発見。事なきを得る(ホントに「事なき」か?)。
 まぁ、生きて帰ってきただけでもよしとしましょう。

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Epirogue 先輩達のお言葉

 岸に上がってみたら、先輩達はちょうど湖に戻ろうとしている所だった。M谷は夕方から用事があるので、わたしたちは帰ることにする。

「それにしても、(わたしの名前)、お前なにしとったんや?」
「全然釣りしとるようにはみえんかったな」
「ずっと氷割ってたね」
「えらい楽しそうやったな」
「君の笑い声しか聞こえなかったしね」

 うーん、もしかして、そこら辺の人たちにすっごく迷惑かけてたんじゃないだろうか、わたしたち(わたし一人?)。
釣り場の管理人に会ったら、「二度と来るな」とか言われそうだ。

 とりあえず、釣果は全くない、というか、釣りですらなかったワカサギ釣りは終わりを告げた。 もし次があった場合、わたしは釣り場に入れてもらえるだろうか? まぁ、それは次になってみないと判らない。 一つだけ言えることは、かなり楽しかった、ということだけだ(釣り場に居合わせた人たち、ごめんなさいぃー)。

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