山道抜けて大地峠へ
こってホントに人が来ないのね…。

大地峠へ向かう道に入ってすぐ、道脇に何かの碑(?)があった。何の碑なのかも判らないし、碑と言っていいかどうかも迷う、中途半端な大きさだ。大地峠の大地は "おおち" と読み、 ”王地” から来ているそうだから、それに関係するものなのかもしれない。わからないけど。 この時点ではまだ、大地を "だいち" 、って読んでたし。
しかしこの道、ホントに山道だ。所々チゴユリやナルコユリが生えている。 たーまに コウヤボウキ(?) が花をつけている以外、目に付くものはほとんどない。 森の木々はどうやらカエデの類らしいが、紅葉にはまだまだ早いようだ。紅葉の「こ」の字もなく、青々と茂っている。
(それにしても、これ、なんだろな?)
大地峠への道に入ってから、 気になる植物 が一つあった。一本の茎だけ、それも掌状の葉っぱが上に一枚しかない植物が、所々に生えている。印象としては、なにか変なものの皿回し、と言ったところだろうか? 初めてみるものだ(歩いていくうち、これが何なのかは一応見当がついた。 でも、この時点では全く気付いていなかったので、ここでは書かないことにする)。

とりあえず、ここまでではあまり見るべきものはなし。紅葉を期待して来たのだが、ハズレだったようだ。
(それにしても、これじゃさすがに疲れる。ただ単に山道を歩くのが目的で来たわけじゃないからなぁ…。)
山道に入ってから一時間ぐらい、道脇が少し広くなっているところで休むことにした。
予想はしていたが、このコースは結構しんどい。奥高尾の時と違って、何しろ "チェックポイント" がないからだ。 それは、進んだ距離を時間でしか測れない事につながる。 おまけに、今日初めて来たところだから、どの程度の所まで来ているのか全く判らない。
(ええっと、大地峠までが約1時間半だから、あと30分ぐらいで大地峠に着くのか。こりゃ体力的にもきついけど、 精神的にもきついな)
ここまでの道のりは、結構登り勾配がきつかった。加えてずっと登りっぱなしだから、はっきり言ってつまらない。 唯一の救いは、山の気分を満喫出来るということぐらいだろうか?
(まあ、ずっとこんな感じだとも限らないんだし、大地峠までは行ってみますか)
よっこらしょ、と腰を上げる。そのとき上を見たら、 マユミらしき木 が実をつけていた。熟す前は球形の実だけど、熟すと綺麗に四つに裂ける赤い実(後から写真を見たら、見事に五裂してました(^_^;)。ここには一本の木しかないが、たくさんの実をつけている。
(こういうの、もっとたくさんあったらおもしろいんだけどな)
ないものはしょうがない。
着ていた長袖の服を半袖のものに換えると、再び歩き出す。道は相変わらず山道。景色の変化にも乏しい。 奥高尾の道は整備されすぎていてちょっとイヤだったけど、こういうのもなんかイヤだ。来る季節を間違えたかも?

進んでいくと、前から60ぐらいのおじさんが歩いてきた。その後に、もう一人続いている。
「こんにちはぁ!」
道を譲り、挨拶をすると、向こうも挨拶を返してきてくれた。でも、なんだか声が疲れている。 そこら辺に落ちている枝で作ったらしい杖を使って歩いてるし。
(先は長そうだなぁ。それにしても、ここってホントに人来ないのね)
実際、このおじさん達が、この日に会った最初で最後の人だった。

それからしばらくは、特に見るものも、イベントもなし。ヤマジノホトトギスの花が咲いていたぐらい。
草の方に目に付くものがない以上、下を向いて歩いても意味がないだろう。
(草をやってる人間の宿命かな、これ)
そう考えて、今度は上を向いて歩くことにする。でも、樹木はあまり判らないし、その上鳥はさっぱりわからないわたしにとって、これは 「…。」 な結果にしかならなかった。

それから15分くらい経ったろうか? 左手の視界が急に開けた。遠くに街が望める。ガイドブックにコモア四方津が望めるって書いてあるけど、あれの事かな?
近くには立て札が立っている。 大地峠の方向に、落書きで「滑る、注意」って書いてあるけど…確かに、大地峠に向かう道は、いきなり急勾配の下りになっている。相当急だ。だからって、注意したってどうなるものでもなさそうな気がする。 勢いがついたら止まりそうにないし、無理に止まろうと思ったらこけるよ、これ。
注意してもどうなるものでもないだろう、と思いつつ、坂道を下っていく。体力を回復できるような下りではなく、思いっきり疲れる下りだ。 ここの道、上り下りが極端だなぁ。
下り終わって少しの間平坦な道だと思ったら、また登り。登り終えたら、今度はまた下り。つ、疲れる。

そんなこんなで、気が付いてみたら大地峠に着いていた。 とは言っても、はっきり 「着いた!」 と言う感じではない。 休憩所か何かがあるわけではないので、山道終わってまた山道、という感じだ。
(ここは、ホントに山歩きのみをしたい人のためのコースだなぁ)
思いつつ、時計を見てみる。
あ。まだ16時になってない。このぶんなら、全行程制覇出来るかな?
前回の奥高尾縦走で全行程を制覇出来なかったこともあって、出来れば全行程を制覇したかった。 そうしたとしても、18時ぐらいには下山できるだろう。 まだ十分に明るいし、ペットボトルの中身も十分残っている。 問題はナシ!
そう思って先に進むことにしたのだけど、この時点ではまだ楽観的になれる状況だった。

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